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2010年7月27日(火曜日)

201007 彩の国資源循環工場第鵺期事業 環境影響評価準備書 公述(加藤)

カテゴリー: - kato @ 08時45分31秒

環境影響評価準備書に対する公述
2010年7月24日
埼玉県知事 上田 清司 様
彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば
氏名 加藤晶子

対象事業:彩の国資源循環工場第鵺期事業

 元地権者であり、該当事業に最も近接し、今後、当事業からの公害等影響を最も受ける住宅地、寄居町西ノ入五の坪地区民として公述する。

1)埼玉県の「第6次産業廃棄物処理基本計画」では、環境影響評価を“造成”に2年、その後“工場建設”に2年かけてじっくり取り組む計画であった。また、県知事の指摘にもあるように、今回の準備書は、廃棄物埋立て・工場とも具体的な事業計画・内容、図面等が示されておらず、内容は県も認めるように“造成”だけである。
廃棄物埋立て・工場ともに“事業”について、別途、環境影響評価を問うべきである。
つまり、彩の国資源循環工場第鵯期事業のときには、“造成”と“事業”について、分けて行っていたが、今回は内容は“造成”で、表向きは、“造成”と“事業”がいっしょになってしまっているので、第鵯期と同様、“造成”と“事業”を分けて行うこと。
また、第鵯期のアセス準備書には、事業内容、設計図面、フロー図、環境影響の予測分布図があったが、それらがいっさいないので、これらについてもちゃんと提示し予測すること。
 また、昭和64年の埼玉県環境整備センターによる廃棄物埋立てについての環境アセスで、すでに設計図などを載せて提示している。
 設計図などなければ、環境影響を予測することは不可能だからである。
また、基本設計がすであるので、それをきちんと準備書に反映させ、住民に開示すること。

2)地元住民感情をないがしろにするのは今後の事業推進に悪影響を与える
戦略アセス、本アセス計画書時に指摘したにもかかわらず、訂正していない部分が多い。該当住民に関する間違いを該当住民に指摘されても素直に直せないという、メンツにとらわれた担当者の頑な姿勢が伺われる。本事業に近接した住宅地(五の坪・栃谷・山居)住民に対する配慮が足りない。
p.4 正しくは“計画地は寄居町南部に位置し、東側は埼玉県環境整備センター、北と西側は平成倶楽部鉢形城コースに隣接している。南西は寄居町西ノ入地区<資料①>、南東は小川町に隣接している”
 序-8などの図面に自ら明記しているように、正しくは“計画地内に1軒住宅があり、さらに計画地境界に接してもう1軒住宅がある。両住宅とも西ノ入五の坪の住宅。”<資料②>
また、正しくは“計画地に近接して、西ノ入地区内に五の坪、栃谷、山居に住宅が立地しており、計画地から流れる五の坪川を利用して水田・畑で耕作している。”

3)上記計画地境界に接した住宅1軒は特に、その立地から大気(有害物質)・悪臭(有害物質)・VOC・騒音・低周波音などの影響を直接受けてしまう恐れがあるので、移転など該当住民の苦渋の要求<資料③>を、県は責任・誠意を持って実行すること。

4)平成19年に地元折原協議会が寄居町連合環境協議会とともに埼玉県へ提出した「彩の国資源循環工場第鵺期事業推進に係る地元環境整備要望書」に、“工場の設置場所は、五の坪地区より出来る限り遠隔地とすること” <資料④>とある。しかし当計画では、工場が住宅地側なので、工場は北側(奥)にし、大気(有害物質)・悪臭(有害物質)・VOC・騒音による地元周辺住民への健康・環境影響を少なくなるよう努力すること。

5)また上記地元環境整備要望書にある、“リサイクル関連、公害を出す恐れのある企業は誘致しないこと” <資料④>を、遵守すること。

6)本事業の計画では、道路が通じ、第鵯期と近隣住宅地が地続きで繋がってしまうので。”<資料②>従来の三方を山に囲まれ、周辺より高度が高い三ヶ山の中の埋立てと工場、というわけにはいかなくなり、騒音・悪臭・大気汚染が、五の坪をはじめ栃谷・山居・平倉など近隣住宅地に直に流れ込むのを防ぐため、第鵺期事業入り口に2重の壁・植栽などにより厳重な対策が必要です。
 なぜなら、毎年の寄居町監視総会での監視員の数々の報告、見学者による証言(気分が悪くなりバスから降りれなくなる方もいます)などにより、敷地内は悪臭(VOC、有害物質)に満ちており、この臭いは、周辺住宅地(五の坪・栃谷・鉢形・富田・小川町木呂子など)住民からも報告されており、一部は環境整備センターでも把握している。また、風向きによって環境整備センター前の駐車場でも観測されている。このような大気中の有害物質は気圧の低い時に、低い場所に停滞することは知られており、第鵺期事業稼働後、敷地外南〜西の上記住宅地へ多大な影響を与えるであろうことは容易に推測される。
※東京都で発生した光化学スモッグは拡散せず、低い場所(川)を沿って、風とともに北上するが、そのとき拡散せず高い濃度を保ったまま移動する。

7)本事業計画から見えて来たのは、第鵺期事業稼働後、周辺への環境影響(公害・水質・土壌・大気・悪臭・VOC)は明らかである。それでも県は実行するというのであれば、1.周辺住民健康被害を未然に防ぐため定期的に毛髪・血液検査による有害化学物質・重金属類・各種アレルギー・化学物質過敏症など健康診断し、汚染の際には対外排出(デトックス)等の補償を講じること。
2.農作物・土壌・水質汚染・風評被害の際にも、基金などあらかじめ用意し、備えること。

8)以下知事意見を遵守すること。 “計画の推進にあたっては地元の意向に配慮し、環境の保全及び公害の防止に努めること”の“地元”とは、寄居町行政は県の言うなりなので、地元の意思を反映しておらず、回答での“寄居町”というより西ノ入地区住民のことである。中でも五の坪は、稼働により多大な影響を受けるので、今後、永久的に地元住民との直接協議を続けること。

9)大気など(測定方法・測定項目)
周辺大気・悪臭・VOC測定は、連続測定を基本とし、測定場所は各地区民への影響を明らかにすること。p.165の現地調査地点について<資料⑤>、各近隣住宅地の中心地で測らないと、それぞれの地区での風向・風速がわからないので、各住宅地への第鵺期からの影響も予測できない。
A1 、A3はそのままでいいとしても、五の坪でのA4は南へ約0.3kmへ移動し中央で。また、栃谷と山居の中央に測定地点を設ける必要がある。A2はもっと計画地に近づけ南に移動させ、保育園で測定することで、園児への影響を予防する可能性も開くことができる。
 これらを資料編での測定結果とし、風配図にして、わかりやすいものとすること。現状では風配図自体がないので、環境影響がまったく不明。
 また、人間と同様に呼吸により有害物資を体内に蓄積する、松葉による大気汚染測定を採用すること。

10)大気質(第鵺期計画地での測定)
調査計画書でも指摘したが、本事業地は複雑な地形の谷津にあるので、計画地の中心でないと、計画地からの風向風速などが正確に測れない。樹木による影響とあるが、本準備書での、両側が山に囲まれた河川に沿った3地点では、それ以上に地形の影響を受けてしまう。

11)大気質・悪臭・VOC(予測方法)
あいかわらず平地での予測に適したプルーム・パフ方式を採用しているが、現地は複雑な地形なので、現地での実測が望ましい。逆転層の起り方も現地での実測でないと正確なことはわからない。後述のように予算に余裕があるはずなのでこの機会に実測し、今後の参考(データベース)としてほしい。

12)水質
知事も指摘のように“水質調査は近隣民家から排水の影響の受けない地点で実施すること”とあり、“近隣の民家等からの排水の影響を受けないように民家の上流側に調査地点を設定いたしました”とあり、その場所はp.189の図面のE2のことだが<資料⑥>、このE2は計画書と変っておらず、相変わらず五の坪集落の下流にあたるので、住宅地からの排水の影響を直に受ける場所である。寄居町はまだ合併浄化槽の普及がままならず、ここ五の坪川は3面護岸であるので自然の浄化作用は見込めず、家庭排水からの影響がかなりあると予測できる。もし、住宅からの排水の影響を受けない場所となると、約2km南上流で集落の上でなくてはならない。

13)地下水水質調査地点
p.455に図面があるが、W1地点は、活かすとしても、「基本設計」p.5-20、p.5-21の地下水流向(応用地質2009)<資料⑦>からも、両側の地山の地下水の影響が強く、第鵺期の地下水の動向を調査するには明らかに不向きである。
本事業の影響を最も受けると思われる現在水質調査地点のE1地点で、地下水質を増やし測定、管理するべきである。
また、現地調査のW3の地下水上流は本事業からはずれてしまうので、200Mほど西側に移動させ、本事業に関係のある場所とすること。

14)P.495“底質に影響を及ぼすことは予測されない”とあるが、現実に2006年に鉛の環境基準超えがあり、操業当時から発覚まで鉛が垂れ流されていたと推測される塩沢川の底質の鉛が他の川に比べて非常に高い(P.477)。これは、過去の事件による影響がいまだにあるとも考えられるので、第鵺期事業について今後も底質の測定をし、管理をするべきで、廃棄物埋立てと工場が上流にある河川環境なので、底質を測るのは基本。

15)観測井戸の位置
第鵯期のときのアセスではあったが、それよりも最新であるはずの今回第鵺期環境アセスでは、観測井戸の位置が明記されていない。
「基本設計」その2では4カ所、実施設計編では3カ所予定されている。<資料⑦>
ここでの地下水の流れは、表流水の流れと反対方向のものがあるので、要注意であり、
本事業地内最下流で最も影響を受けると思われるのが、表流水の下流側である本事業入口側B2と、地下水の下流側であるB3側、この2カ所に数カ所づつ増やして管理するとよい。
B1は、前述したように両側の地山の地下水および表流水の影響を受けるので必要ないと思われる。

16)浸出水調整槽(集水ピット)
環境整備センターでの埋立処分場は複数あるが、すべての処分場は塩沢川水系に属し、浸出水調整槽は各埋立地から“自然流下”で下流側にあり、雨の多い時など最下流に2つある調整槽に溜めておき、その近くにある浸出水処理施設で水処理されている。
 これは三ヶ山の元々の地形を活かした非常にうまいやり方で、全ての埋立地は自然の谷津を活かし、しかもすべて上流に設置し、下流に浸出水配水管を通り“自然流下”で調整槽に集まる。しかし、それでも過去、大量降雨時に溢れ出てしまった経緯から、現在は2つの調整槽を用意している。
 しかし、第鵺期事業計画地は、三ヶ山ではなくその隣の別の水系(五の坪支流)であり、大きくは深沢川流域であり、全く別の方向へ(塩沢川は南から北に対し、五の坪川支流は北から南、その後西へ)流れる全く別の流域である。
 第鵺期での計画では、今までにない大規模容量の埋立地にもかかわらず、通常あるはずの浸出水調整槽(集水ピット)<資料⑧>が埋立地に隣接した“自然流下の”下流側にない。あるのは“集水ピット”と呼ばれるポンプアップ施設で、はるか第鵯期防災調節池手前の“浸出水調整槽”まで引き上げられる。(正確には長い送水管の途中まで引き上げられ、その後は自然流下とのこと)
 これはかなり危険をはらんだ設計で、集中豪雨による被害が各地で起きている現在、過去のデータは当てにならず、瞬間的に大量に雨が降ったとき、長い送水管の途中にある断層の影響を受けたとき、送水管のひび、破損、ポンプの不具合、事故などにより、ポンプが通常稼働できなかったとき、浸出水は第鵺期埋立地に逆流、もしくは溢れる、または途中の送水管から漏れ出て道路に溢れるなどした場合、汚水である浸出水が直接防災調節池や五の坪川に流れ込む可能性がいなめない。
 寄居町にある大里広域の市町村単位の廃棄物埋立て処分場でも下流側に埋立て容量に対して数分の1ほどの大きな“浸出水調整槽”が設置されている。
 また、建設当初は安上がりな設計かもしれないが、万が一の時は施設の修復から、土壌汚染調査、改良、多額の埼玉県民の血税が投入されるはめになる。
 リスクを鑑み、第鵺期埋立地と防災調節池の間に、ある程度の規模の“浸出水調整槽”を用意し、その後ポンプアップで、処理施設まで送る、もしくは処理施設を併設し、処理後、ポンプアップするなどが順等です。

17)搬入道路(事業計画)
“計画地内の廃棄物埋立てや工業団地への出入りについては、関係者以外の出入りができないよう管理を徹底します。”とあるが、実際(基本設計)<資料⑩>は、埋立地には門が設置してあるが、第鵺期工場へは設置していないので、直に入れてしまい、そのまま第鵯期へも通じている。これでは、誰でもいつでも第鵺期、第鵯期の工場へ出入りでき、何が搬入されるかを県は管理できなくなってしまう。
現行の第鵯期のR254からの入口のように、門と守衛をつけ、自ら宣言した約束を守り、第鵯期同様、県が工場への搬出入を管理できるような体制とすること。

18)遮蔽(事業計画)
 現在の計画では、今までの三ヶ山の上での事業地という訳にはいかず、第鵯期への道路開通により山を削るので、西ノ入地区から当事業と第鵯期事業が地続きとなるので、ガス化溶融炉・焼却灰焼却施設・医療廃棄物焼却施設・堆肥施設などからの風・逆転層などにより環境影響を受ける可能性が高い※ので、2重での入れ違いの壁・植栽等により直接、当地区へ風が通らないように<資料⑪>、厳重な対策をとること。
※現在でさえ、五の坪住民たちは冬場・春先の早朝(逆転層時)悪臭を感じており、第鵯期敷地内、監視員・見学者も訴えるように、悪臭(有害化学物質)が酷い。

19)測定項目
大気・悪臭・水質・土壌に、アスベスト・放射能関連物質・ホルムアルデヒドを加えること。
また、進出する工場の事業内容によって、測定物質を増やすこと。

20)測定機関
現行の事業者である県が雇う測定機関だけでなく、住民が選ぶ測定機関と同じ日に同じ物質を測り、クロスチェックをすること。

21)事後調査
p.745、p.746<資料⑫>で、埋立て・工場両事業とも、第鵯期、各地での事例などから施設の稼働による大気質・騒音・低周波音・振動・(水質)・底質・土壌・温室効果ガスについて事後調査をして、環境影響の有無を調べ、管理するべき。そうでないと、今後の環境・健康への影響の因果関係がわからなくなってしまう。
 また、住宅地に近接した埋立処分場と工場を稼働し、第鵯期も併設していることから第鵺期との比較も含め、埼玉県は責任を持って、周辺環境を調査して、安心・安全を証明してほしい。周辺住民は、環境整備センターでの廃棄物埋立て、資源循環工場での廃棄物焼却など関連施設、また第鵺期…と、周辺住民と環境に負荷が加算されており、故障・事故・自然災害などリスクが高まっているにもかかわらず測定もしないというのは片手落ちで、周辺住民と環境は泣き寝入り状態となってしまう。
※水質について、一覧表では調査するとあるが、除外する項目には調査しないとあるが、
第鵯期でも、実際にないはずの排水から鉛、ホウ素、ダイオキシン類などの汚染があったことから、責任を持って必ず測定し、管理すること。

22)環境影響評価
地元住民が事実に基づいて指摘した事項の多くが直っておらず、計画書どおり進んでいる。やり直しとなると、さらに1年かかるので、その手間と時間を惜しんだものと思われるが、間違った環境影響評価をするよりは、はるかにましで、県民の税金をムダ遣いせずにすむ。また、環境整備センター、第鵯期事業、ホンダでのアセスなど、既存データを使い回しできるので、予算的にも余裕がかなりあるはずである。
住民意見を募集しているメリットを活かすのが、本来のアセス執行なのではないでしょうか?

23)地元住民として第鵯期からの経過を鑑みて、本事業を進めるのは、埼玉県・地元住民・県民・周辺環境・生態系にとってリスクが高すぎると感じている。
ごみ行政にしても、年々環境整備センターへ搬入されるごみが減り、創業から21年経ち、埋立て終了予定からも1年経過しているにもかかわらず、まだ約50%残っている。第鵺期の工業誘致も進まず、第鵯期の大半の事業者も経営が難しいと聞く、寄居町にとってもさらなるゴミ処理施設(埋立て含む)を誘致するメリットがあるだろうか?
 基本設計にも明記されているように、寄居町町民意識調査でも伸ばすべき町の強みは“自然環境”と“景観”が満足度・重要度ともにトップであるが、これらの施設は町民感情に反している。よい町づくりとはとても言えない状況である。今ならまだ遅くはない、第鵺期事業計画地を、すでに多く失われた自然生態系の保全・農業観光資源・福祉施設などに転換すべきと考える。

24)このたび第鵺期が計画されているが、第鵯期と環境整備センターのある塩沢川流域について地下水の性質をオクタダイアグラムという手法で調べ、周辺の地下水と比べてみたので、参考資料として提出する<資料⑬>。
 
a)オクタダイアグラムとは、水中に溶存する無機イオン濃度を分析し、それをミリグラム当量/Lに換算し、凡例に示したような8角形になるように作図したものである。
濃度が高いイオンを陰陽それぞれ4種類ずつ選択し、陽イオンは左側(第2,3象限)、陰イオンは右側(第1,4象限)に示した。この図形の面積はイオン濃度の合計を示す。
図形が大きくなれば、溶存イオン濃度が高かったことを示している。小さければ低濃度であったことを示している。右側と左側の面積が同じでないケースは、何らかの理由で陰陽イオンのバランスが崩れていることを示しているか、あるいは、選択した8種のイオン以外のイオンの溶存濃度が無視できないほど高いことを示す。
8角形の形状はイオン組成のバランスを示しており、同じような形状をしていれば、同じ水脈に起因する水である可能性が高いことを示していると考えることが出来る。
従って、ある地域内の各所で採取された水資料の分析結果を比較考察する時に、有用な手法としてしばしば用いられる。
b)ミリグラム当量/Lという濃度について説明しておく。例えば、NaCl(塩化ナトリウムすなわち食塩)3gを水1Lに溶かせば、3%の食塩水が出来る。3%は、3万mg/Lである。このうち、ナトリウムイオンは、11800mg/L、塩素イオンは18200mg/Lである。これを、ミリグラム当量/Lに換算するには、各イオン濃度を各イオンの原子量で割り算すれば良い。Naナトリウムの原子量は23、Cl塩素の原子量は、35.5なので、ナトリウムは、11800/23=513, 塩素は18200/35.5=513ミリグラム当量/Lとなる。つまり、陰イオンと陽イオンが1:1のバランスがとれていても、mg/Lのような重量/容積濃度で表すと陽イオン濃度と陰イオン濃度は違う。それをミリグラム当量/Lで表わせば、等しい値になる。
c)さて、2009年から2010年にかけて3回にわたって行った調査結果および埼玉県によって行われた平成10年度7号埋立地に関する地下水調査結果、合計29か所の水質分析結果を地図上に並べて、図形の形状から分類を試みた。
d)鵯−1型(CaMg-HCO3SO4):塩沢川中流、親水公園パイプ、環境整備センター横の池、敷地内川、埋立地7-2、BR−2,埋立地7−3、 川下、調整池流入沢、
e) 鵯−2型(CaNa-HCO3SO4): シート間水、11湧水、
f)鵯−3型(CaNa-HCO3ClSO4): 埋立地7-1、
g)鵯−4型(CaNMg-HCO3SO4):土管
h)鵯−2L型(CaNa-HCO3): BR−1
i)鵯−2’L型(CaNa-HCO3SO5): 地山水たまり
j)鵺−1型(Ca-HCO3):木呂子湧水1,3,4,5、吉野川上流湧水、
k)鵺−2型(Na-HCO3): 三ヶ山3沼上、三ヶ山敷地内、第鵺期5,4-1,3,1、
l)鵺−3型(CaNa-HCO3NO3): 3第鵺期1
m)鶚型(MgCa-SO4NO3):塩沢川中流のTさん宅地下水
n)鶤型(Ca-HCO3SO4NO3):雨水側溝
o)これらの分類群のうち、濃度の高い鵯型(赤で示した)はすべて塩沢川集水域に分布している。濃度の低い鵺−1型は、木呂子地区や吉野川源流部など分水境界を隔てた東側に分布している。濃度の低い鵺−2型、鵺−3型は、西側の分水境界を隔てた第鵺期予定地や三ヶ山地区に分布している。濃度の低い鵯−2L型は、塩沢川集水域の南端(BR−1)と調整池南側の地山水たまりに位置している。
p)塩沢川集水域の電気伝導度の高い、すなわち塩濃度の高い水は、常識的には何らかの汚染を受けていると考えることが出来る。とりわけ疑われるのは、長い年月埼玉県によって行われてきた産業廃棄物の埋め立て処分である。基準値を超える有害重金属こそ検出されていないが、電気伝導度の高さは都市河川であればかなり汚濁した水域で観測される値に相当する。しかし、温泉基準に合格するような地下水であれば、この程度の電気伝導度や塩濃度はさほど珍しいことではない。はたして、汚染されていない塩沢川集水域の地山地下水は、どの程度なのだろうか。現実には、塩沢川集水域は全域にわたって産廃処分場や産廃リサイクル工場が立地しているために、汚染されていない地下水を採水することが難しい。今回、埼玉県の資料の中から、平成10年度に行われた7−3号埋立地立地のための調査結果を発見することが出来、その中にオクタダイアグラムを描くことが出来るデータが存在した。その中の7-3号埋め立て予定地の南側で行われた調査ボーリング孔から得られた水についての分析値が、形状は鵯−2型だが塩濃度は低かった。まだ完全ではないが、塩沢川集水域で10年前には比較的塩濃度の低い地下水が存在していたことを確認できたことは重要である。
q)今回見えてきたことは、塩沢川流域は、何らかの理由で汚染されている、ということである。
 その汚染の特徴として、河川の上流の三ヶ山の敷地内の方が下流の塩沢川中流よりも濃度が高いことがわかる。通常の河川は上流が低く(きれい)、下流に行くほど家庭や企業などの排水の影響を受け高く(汚く)なるが、ここ塩沢川は逆。ここからいえるのは、塩沢川は上流の三ヶ山地内に何らかの汚染原因がある、ということ。
 塩沢川は、埼玉県民と東京都民の飲料(水道)水源の荒川の支流でもあるので、埼玉県はこの事実を重く受け止め、原因究明と、汚染拡大防止に努めるべきである。
r)また、今回、埼玉県の過去の水質を調べたが、三ヶ山の地下水や塩沢川などについて、汚染物質の測定ばかりで、基本組成(水の性質)を捉えたものはなかった。約20年前の廃棄物埋立てや産業廃棄物処理施設の建設にあたり、分析をきちんとするべきであった。


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活動目的と活動内容
<活動目的> 彩の国資源循環工場についての活動を通じて、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会の仕組みを見直し、地球にやさしい本来の資源循環型社会を目指します。 <主な活動内容> ・松葉によるダイオキシン類・重金属類調査と報告会 ・桜(ソメイヨシノ)異常花発生率調査[桜調査ネットワーク] ・小川町、寄居町の小中学校健康保険調書による疫学的調査 ・アサガオによる光化学スモッグ調査[埼玉県環境科学国際センター] ・埼玉県へ意見書・要望書・公開質問状 提出 などなど…ぜひ、あなたの力をお貸しください。 いっしょに活動する「正会員」、イベント情報受け取れる「賛助会員」があります。

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