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2008年5月12日(月曜日)

2008.4.18 彩の国資源循環工場 環境影響評価 事後報告書に対する意見書

カテゴリー: - kato @ 15時39分46秒

埼玉県知事 上田清司様

平成20年4月18日

「彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば」代表 加藤晶子

対象事業:彩の国資源循環工場廃棄物処理施設建設事業

事後調査書に対する意見

 今回の「彩の国資源循環工場廃棄物処理施設建設事業に係わる事後調査書」を読み、大変がっかりしました。環境影響評価といいながら、彩の国資源循環工場をめぐる環境影響のうち、現実に起きている事実(下記1〜10)が反映されていません。机上の空論と言わざるをえず、このままでは埼玉県は、将来にわたり現実に生きている住民や従業員の健康・生命、周辺環境を保全することはできないでしょう。
 今からでも事後調査をやり直すことが必要です。また、彩の国資源循環工場については、あらゆる面から再検討が必要であり、第2期事業にとりかかるべきではありません。

1)水質汚染が現実に複数回起きている事後調査報告書に水質・底質測定をするべき。
 事後調査計画時には、除外する理由として“排水は、敷地内クローズドシステムの採用により、敷地外へ排出しない計画であるため、水質及び底質に与える影響はないものと予測される。”としたが、現実に起きた汚染・基準値超過により、この前提が崩れたので、埼玉県は現実を重く受け止め、事後調査を再検討するべきです。
 なかでもダイオキシン値超過については、埼玉県の「彩の国資源循環工場環境調査評価委員会」での検討資料では、明らかに排出工場が特定できるにも係わらず、原因不明としました。これは、「彩の国資源循環工場環境調査評価委員会」が機能しておらず、環境影響評価事後報告書にも反映されていません。
 埼玉県が本当に、この施設による環境影響を最小にし、環境汚染を防ぎたいのであれば、このような結果は導き出せません。これは、埼玉県PFI事業のガス化溶融炉の排水からの鉛・ホウ素流出のときにも言えます。
基準値超過した時点で施設の稼動を一時的に停止し、周辺環境への影響を最小限にする義務があるはずですが、埼玉県はそれをせず、数ヶ月間流出するにまかせていました。対して、東京都の複数のごみ溶融炉でも鉛などが基準値超過したときは、すぐに東京都は施設を稼動停止させました。
この差はいったい何に起因するのでしょうか?PFI事業や借地事業は、行政の権限が半減もしくは無いので、周辺住民や県民、周辺環境へ負荷をかけるばかりで、このような廃棄物処理施設に向きません。

2)実際に起きた汚染物質落下を鑑み、土壌測定をし、環境汚染の有無を事後調査報告書に掲載すべき。
 2007年1月24日に焼却灰焼成炉の煙突から黄色い煙が出、鉛・カドミウム・総クロムが高濃度の含有物が落下した。しかし、土壌測定がされていないのでこの事件による土壌汚染の有無は不明のままである。 今回の件は、たまたま目撃者があったため発覚したが、運転ミスによるもので、わたしたちが気がつかない事例があるかもしれない。土壌測定をすることで、同様の運転ミス・故障・事故などによる環境影響を知ることができる。
それを証明するかのような事例が実際にあったにもかかわらず、土壌測定もされていない。

3)高温焼却炉から排出される物質について、環境影響評価とその事後報告をし、現実に周辺環境や住民のおかれている現実の環境影響に対応すること。
 彩の国資源循環工場では、ダイオキシン対策として高温焼却炉が3つあります。この焼却炉では塩素系ダイオキシンは減るといわれていますが、高温による化学反応で、代わりにさらに発ガン性が高いといわれるニトロPAH、重金属類、臭素系ダイオキシン類などが大量に排出されて
しまうということです。なかでもニトロPAHが塩素系ダイオキシン類に代わって増えてしまうということが実測で証明されています。
 しかし、これらの物質について環境測定されておらず、環境影響評価、事後報告書でも取り上げていない。法律にない項目かもしれないが、法律を超えたプラントが実際に稼動しているのであれば、現実に即した項目を測定すべきです。

4)杉並中継所や大阪寝屋川市、福井県丸岡市などで実際に起きている、廃プラ加工(破砕・圧縮・加熱など)による周辺大気のT-VOC
(総揮発性有機化合物)や非メタン炭化水素による高濃度汚染と
住民健康被害をうけ、同様の環境影響が想定される彩の国資源循環工場の同様施設について大気のT-VOCや非メタン炭化水素の測定をし、環境影響評価と事後報告をすること。
 彩の国資源循環工場に2社あるRPFごみ固形化燃料では、廃プラスチックを破砕し、木くずと混合し熱し固形化させるという、大阪寝屋川や福井県丸岡市の廃プラリサイクル施設や杉並病を発生させた廃プラ圧縮施設同様の工程があるにもかかわらず、想定されるT-VOC汚染に特化した大気(または悪臭)測定をしていない。
 東大の実験で“プラスチック製品は、ただ放置した状態でも有毒な化学物質が発生しており、それを圧縮したり破砕させたりすることでさらに有毒な化学物質が多種にわたり発生している”ことが明らかになり、“プラスチックの中には有毒な物質が多種混入している。(中略)プラスチックの製造段階で、低分子を放出しないような安全なプラスチックの開発技術が必要不可欠である。”と結論づけられている。

5)埼玉県でも研究調査しているように、彩の国資源循環工場のある寄居町・小川町は、全国でも上位の光化学スモッグ発生地である。4)に加え、この事実を踏まえ、環境影響評価として光化学スモッグ発生源の1つである、T-VOCや非メタン炭化水素について測定し、彩の国資源循環工場との関連性を調査、報告すること。
 これにより、彩の国資源循環工場と、現実に起きている高濃度の
光化学スモッグによる環境影響との関連性の有無がわかり、環境被害を未然もしくは最小に抑えることが可能になる。

6)浮遊粒子状物質について、日平均が、事後調査結果で予測結果を上回った地点がある(P.51)。さらに、1時間値は、すべての地点で事後調査結果が予測結果を上回っていた(P.52)。
 浮遊粒子状物質の原因は、T-VOC(総揮発性有機化合物)や非メタン炭化水素などであると環境省が定義している。これらの事実は、上記4、5に加えてさらに、T-VOC(総揮発性有機化合物)や非メタン炭化水素などを環境影響評価や事後調査で行うべき根拠となる。
これらT-VOC(総揮発性有機化合物)や非メタン炭化水素などについて、さらに詳しい測定・分析が待たれる。

7)人間と同じく蓄積性のある検体からの高濃度ダイオキシン類が、彩の国資源循環工場稼動の年から2年連続(平成18年度、平成19年度)して大気換算で高濃度のダイオキシンが検出されている。この事実を鑑み、大気のダイオキシン類測定について、検討し直すべきである。
 大気によるダイオキシン類汚染について、埼玉県の測定ではすべて基準値内であるが、寄居町や当会による松葉による大気のダイオキシン類測定では、彩の国資源循環工場稼動の年から2年連続(平成18年度、平成19年度)して大気換算で高濃度のダイオキシンが検出されており、平成18年度の寄居町の大気濃度は平均でも基準値の0.6ピコグラムを超えている。
 大気換算濃度 平成18年度
  寄居町:0.54ピコグラム 0.8ピコグラム(平均0.67ピコグラム)
  当 会:0.13〜0.15ピコグラム
        平成19年度
  寄居町:0.17ピコグラム 0.48ピコグラム(平均0.325ピコグラム)
  当 会:0.31〜0.35ピコグラム
 これは、一瞬の大気のサンプルによる数値と、年間を通して蓄積されたものを大気換算した数値との特性の差によるもの、事業者による測定と第三者による測定の違い、この2つが原因として考えられる。
 ごみ焼却による大気濃度は、ごみの組成や量などさまざまな要因で一刻一刻その濃度が大きい時で数百倍にも変化します。正確な大気濃度を調べたかったら、1年を通じて常時連続測定しなくては正確なところはわかりません。
 また、人間や動植物、土壌などは有害物質を蓄積する性質があるので、大気濃度よりも年間の総量の方が、周辺で生きるものにとって切実で現実的な数値です。

8)環境影響評価・事後調査の測定地点にふさわしくない地点が
いくつかある。
 No.2の計画地南側(深田地区)は、この地点周辺でもふさわしい地点があるにもかかわらず、山の陰に隠れ、施設から遮ぎられている位置にあり、No.3の計画地東側(埼玉県立げんきプラザ内)は、金勝山の上にあり、彩の国資源循環工場のある三ヶ山よりもはるかに高度が高く、空気よりも比重の重い物質を測るのに向いていない地点であり、これらの地点に測定物質が到達する確立は素人でも低いと想定される。

9)運営協定で水銀排出が想定されている施設にもかかわらず、事後調査で水銀が測定・検査されていない(P.46)。
 環境影響評価の時点で埼玉県知事からも大気による水銀の測定の必要性が指摘された、蛍光管リサイクル施設であり、運営協定でも事業者による大気測定項目で水銀が測定されているので、環境影響評価の事後報告でも、測定・検査するべきです。

10)周辺住民の実際の苦情を調査し直す必要がある。
  住民からの苦情が“大気汚染に関する住民からの苦情・問合せはなかった。(P.47)”“工場からの悪臭に対する住民からの苦情・問い合わせが9件あった。主な苦情・問い合せの内容としては、汚水管や生活排水最終排水口からの臭い、よりいコンポスト株式会社からの堆肥の臭い、広域廃プラスチックリサイクル協同組合からの刺激臭に対するものであった(中略)改良してからは、同企業から発生する刺激臭に対する苦情・問合せはない。(P.78)”と事後報告書にあるが、周辺住民・監視員・他企業から違う報告があるので、再度、実際の苦情を調査し直すべきです。
 ここで問題なのは、埼玉県が事後報告書で原因を2つの企業に限定していることです。周辺住民は異臭や大気の異変を感じるが、それが、大気なのか悪臭なのか、その原因企業までは言及しません。
 当会が報告を受けている異臭や大気の異変のメモを下記に挙げます。
  2006.2.2 腐敗臭  2006.2.6 油を熱したような臭い  
  2006.14 つんとする刺激臭
  2006.20〜26 つんとする刺激臭  2006.23 フライパンを空炒りした臭い
  2006.3.14 腐敗臭  2006.3.20 腐敗臭・硫化水素の臭い  
  2006.5.17 むっとする甘い臭い
  2006.5.20 腐敗臭  2006.6.8 タール集  2006.14 腐敗臭  
  2006.8.1 何ともいえない臭い
  2006.8.2 何ともいえない臭い  2006.8.4 汚泥を燃やした時の臭い     
  2007.6.19 溶剤臭
  2007.6.20 溶剤臭  2007.21 溶剤臭  2007.7.3 むっとする臭い   
  2007.8.2 輪ゴムの臭い
  2007.8.4 溶剤臭  2007.8.7 輪ゴムの臭い  2007.9.17 し尿臭   
  2007.9.30 カルキ臭
  2007.11.20 タール臭  2007.12.28 フライパンを空炒りした臭い  
  2008.3.2 排ガス臭
  2008.3.13 排ガス臭
これらのうち、いくつかは埼玉県環境整備センターに報告済みです。
 また、以前監視員として視察に行った時、焼却施設の建物の外から上がった時、ゴミピットからの強い刺激臭がしていました。また、この施設からの臭いがして困ると他の施設から直接聞いています。

11)地球温暖化の原因物質であるとして、世界的に規制の対象になっているCO2について、環境影響評価や事後調査で、各施設からのCO2排出量を測定するべきです。
 これらの施設稼動により、かえってCO2排出が増えてしまうようではいけないので、環境影響評価で、もしくはそれとは別に、CO2排出量を把握しておくべきかと思います。


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活動目的と活動内容
<活動目的> 彩の国資源循環工場についての活動を通じて、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会の仕組みを見直し、地球にやさしい本来の資源循環型社会を目指します。 <主な活動内容> ・松葉によるダイオキシン類・重金属類調査と報告会 ・桜(ソメイヨシノ)異常花発生率調査[桜調査ネットワーク] ・小川町、寄居町の小中学校健康保険調書による疫学的調査 ・アサガオによる光化学スモッグ調査[埼玉県環境科学国際センター] ・埼玉県へ意見書・要望書・公開質問状 提出 などなど…ぜひ、あなたの力をお貸しください。 いっしょに活動する「正会員」、イベント情報受け取れる「賛助会員」があります。

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