彩の国資源循環工場第2期事業 公述 2005.3.19 会員外の方から(1)
よろしくお願い致します。戦略的環境影響評価制度とこの廃棄物処理施設の関係、彩の国資源循環工場第2期の計画、報告書の中での問題点やその他を、環境保全と創造の見地より述べさせて頂きます。
現在までの県内戦略的環境影響評価対象計画の第1番目は、浦和から岩槻間の鉄道の延長、2番目は所沢市の土地区画整理事業、そして今回が3番目との事。浦和の高速鉄道は、住宅密集地・田園地帯など諸事情に合わせて、地下や高架に変えたりとそれぞれの案を提案しており、また2番目の所沢市では、駅から4〜500メートルの近距離にある50ヘクタールほどの土地区画整理をどのようにして開発しようかという事業内容です。その中での主要な検討事項は、その50ヘクタール中にある9ヘクタール、約17.9パーセントの緑地面積の残し方を中心とした提案とのこと。
本来ならばこのような開発での緑地は、50ヘクタール中の3パーセント、1.5ヘクタールほど残せばよいとの事ですが、残す緑地面積はそれ以上の提案を行い、戦略アセス制度に掛けた様です。その3案は、A案3.6ヘクタール(7%)ほど残す。B案5.4ヘクタール(10%)残す。C案50ヘクタールのうちの、9ヘクタール(17.9%)残す=今あるほぼ全ての緑を残す、という3案の中での検討とのこと。
首都圏の住宅地で資産価値の高いエリアにありながらも、残された緑地を中心として「これからのまちづくり」をどのようにしていこうかと、環境配慮と共に広く問いかけた、謙虚で前向きな所沢市の取り組みが感じられます。
戦略アセスメントとは、この基本構想にもあるように、環境汚染の未然防止を図るため、従来導入された環境影響評価制度の運用の中での課題・問題を解決すべく、環境への重大な影響を及ぼす恐れのある計画に対して行い、その内容と目的は、「事業内容が固まる前から、環境への影響低減のため配慮を幅広く多段階から検討する事」「複数の事業が多数行われることによる、累積的・複合的な影響も予測・評価する事」等を加え、新たな環境影響配慮制度として平成14年より制度化されております。
さらに「ものごとを決めるに先立ち、環境を守るために一層の工夫の余地を外部の状況に照らしながら検証し、あらゆる段階で環境配慮を凝らす」等、こちらの埼玉県発行の戦略アセス基本構想にも記されております。環境に更に手厚く配慮するため設けられた制度と考えられます。
そのような観点から、今回の彩の国資源循環工場廃棄物処理施設第?期事業の戦略的環境アセスメントの報告書を確認してみますと、前述の戦略的環境影響評価制度においての意義や目的である、環境配慮であるべき公害防止対策の点などの調査・検討・検証記述はほとんどありませんでした。
さらに廃棄物処理施設においての設置・稼働時、住民環境への安全性を第一優先した計画立案も打ち出されてなく、これでは「まるで住宅団地の開発!」ではないか。と見まがうような造成・工事のことのみ、の記載です。
この様な大規模廃棄物処理施設を戦略アセスにのせた場合であるならば、それは規制物質を排出しないような、あるいは極小に近いような仕組みの施設を造るために、工夫した原案を立て、受け入れる地域住民に対し、公害を出さない、あるいは最小限にとどめられるような原案の提案検討でなくてはなりません。
しかしながら、今回の報告書の内容は、長くてもせいぜい2年位の造成・工事のみで、埋め立て期間は、約20年はかかるであろうと思われる「埋め立て最終処分場での公害項目」の影響検証などほとんどなく、大変な施設を受け入れなければならない住民への配慮と誠意が全く感じられません。
★ 環境推進課へお願いしたいのは、今後、そして今回から、埼玉県のこの制度中の社会経済面の評価を、東京都のように削除して頂きたいのです。環境保全と経済性はどう見ても相反するものと云えます。ましてこのような特殊な施設の施工においての経済性、例えば安価で効率優先などを評価すると、それはもちろん近隣住民の安全性は損なわれることになるからです。
また、現在非公開となっております小委員会の公開(議事録含)を、ぜひお願いしたいと思います。事業アセスにおいても小委員会の公開をお願い致します。大事な私たちの地域のことを、先生方がどのような内容で審議して頂いているのか。先生方も、近隣住民の立場に立って真剣に審議して下さっていらっしゃるのかどうか、ということです。
★ 次に報告書の記載が、申しましたように造成・工事に関する記述ばかりで非常に不均衡で、それに伴う自然環境・景観・動植物などを取り上げていますが、この廃棄物処理施設稼動の根本的な環境影響(公害項目)評価ではありません。
小さな命も大事なことですが、40ヘクタールの中だけでの、ABC案相対(比較)評価で□例えば自然の動植物を、A案と、B案とだったらこの動植物がどうだろうとかこうだろうとかを、「40ヘクタールは全て廃棄物処理施設に利用し、自然が消えてしまうという計画」であるABC3案同士で、いくら比較検討・相対評価をしても、「開発をやめるという別案」との比較でない限り、自然環境、動植物、景観など報告書ABC案相対評価は、無意味な事と云えます。
★ 計画書、報告書では最終処分場のことだけを取り上げていますが、その中の中間処理施設、木くず・ガラス・電池・石膏ボードほか再資源化困難物とあるのであれば、それら品目の類似の国内外他施設等も検証する必要があります。それは累積する複数の事業が複合して及ぼす影響にも対応していくと、埼玉県が自ら戦略アセス基本構想に記されているからです。
★ 主要な施設である最終処分場は、水質・土壌・大気ほか、公害を最小にするため、最新といわれる技術を集積した複数案とすることです。
報告書処分場の3案では、誰が見ても最初に答えがあると考えられます。それはいっぱい埋められるとか、そういった観点で先程の社会経済性を取り上げたならばそういう評価結果になるからです。
それにつきまして、公害防止のために、屋根付きクローズドシステムというものを提案・要望します。雨水が入らないよう、処分場の上に屋根を掛けるというものです。それと遮水構造は2重シートの下に、粘性土で、水を浸透させないようなベントナイト混合土を。そして漏水検知システムも採り入れる。
★ ?期事業「貯留槽」の最高部は、埋め立て底地(保護土最下部)の一番底よりも低い位置とする、当然のことですけれども・・。土木事業というのは、言いにくいのですが意外と単純で大雑把に考えられてしまうところがありますし、実際に埋め立て底地が、貯留槽のタンクの最高部より下になりますと、この差は・汚水は底地に溜まる事が前提となってしまいます。ごみを埋めてしまえば分からないかもしれませんけれども、ずっとそれは埋まることになり、腐敗やその他、更なる問題を引き起こします。
★ 環境整備センターの各処分場の遮水シートは、平成元年から2重シートで施工してきて、16年間破断事故と浸出水の漏水事故は発生していないという県の記述は、科学的な根拠に欠けます。また、虚偽記述と伺えます。 理由は、
1. 科学的な漏水検知の設置もないままに、「破断していない!浸出水が地下に浸透した事故はない!」とは言い切れません。
地下水においては地下水集排水管の管と管の間隔は十数メートル以上も離れており、「漏水のその全てを捕らえることはあり得ません!」
観測井においても、周辺に細かい距離で井戸を掘っている訳ではなく、その間隔はキロ単位で遠く、これも同様と云えます。
ここで漏水検知ですが・・処分場といいますのは、殆んどこの1.5ミリのシートでなっております。処分場のすり鉢状の形に合わせたシートは存在しませんから、その処分場の現地の形状に合わせ、約一間幅のシートを接合・溶着施工してゆきます。その溶着時に、実際にはちゃんと溶着していないということもありますし、埋め立て中においても検査が漏水検知のような科学的な検査がなされていないという訳です。
そして理由その2は、事実関係より→開所時を知る方々によると、「2号埋め立て地の開始時に重機等により何らかの破断があったのを何カ所か発見している」とのこと。当時、遮光マットはまだ使用されず、遮水シートが破断していればすぐに目視で確認できました。そして、この時の遮水シートは、「もちろん2重ではなく1重であった」との事。
また、法令による根拠からですが、報告書73、74頁をお手元にお渡ししました。これをご覧いただきますと、「調査内容:最終処分場からの漏水の可能性を予測するため、対象計画において採用を検討している遮水工法と同様の工法を採用し、既に埋め立てを実施している最終処分場における遮水実績について調査した。」とあり、「その遮水工法の検討にあたっては、環境整備センターで採用されている工法と同じもの(2重シート)として検討した」ということで、73頁にその図がございます。この図法面は、74頁上の「他事例における実績」として、この表の整備センター平成元年からの、6つの全処分場がこの図と同様の2重シートであると県は云っております。ですが、これは間違っております。
資料・官報をご覧いただけますか。こちらに平成10年6月16日に総理府・厚生省の共同命令が出まして、これは日の出町や全国色々な所で、最終処分場の有害物質の漏出が発覚し問題になった時、あわてて国がこれを作りました。
その遮水構造というのは(イ)一番右の絵です。ベントナイト混合土50センチ以上の上に遮水シートがあること。次の(ロ)アスファルトコンクリート5センチ以上の上に遮水シートがあること。(ハ)としまして、2重の遮水シートであるということですね、これ等3種が2重工法・構造です。
ですので、時期的に平成10年以前の整備センターの埋め立て、6つの各処分場は1重(法面図)であり、2重でないと云えますし、事実、これ等は1重なのです。
何故、埼玉県庁・資源循環推進課はこのような虚偽記載をされるのでしょうか。資格のある設計コンサルタントは、当然共同命令も知りながら、1重遮水シートを2重シートと記載を要望されても、資源循環推進課に「そうする様に」と指示されても記載するべきではなく、コンサルタントとしては進言・指導すべき立場だと考えます。今後の設計や施設・施工対応においても、これではとても心配で、信頼できません。
★ ?期の24年頃開業の、運営協定を19年頃に締結する場合は慎重を期すべきであり、住民とその代表者に、内容において充分な検討時間と、公正な専門家への調査費用を与えるべきです。しっかりと事前調査をし、先程申し上げました、1重シート埋め立て地を2重シートだとか、その他色々な事を言われても、「それが事実か、安全かどうか」を分かるようにしたほうがよいと思います。
★?期・?期事業も明確で公正なモニタリング・維持管理を徹底しなければ、今のままでは、住民の安全は確保できません。周辺の調査、水質・土壌・悪臭・農作物等調査も必要です。
こちらに、流山市ではどの様にしていたのかを情報公開請求して、頂戴した資料があります。その中には◆大気では市内19地点で ◆水質では24地点 ◆土壌では19地点 ◆悪臭では11地点で。また更に◆野菜類のダイオキシン類調査というのを実施しています。
市の野菜類のダイオキシン類調査、ご覧いただけますでしょうか。◆春には11地点でタマネギ、ネギを ◆夏には枝豆やホウレンソウ、収穫米 ◆晩秋11月にはホウレンソウ、やはり11地点 ◆冬にも11地点でホウレンソウ、等々行っております。
この流山市の溶融施設は、一日処理能力200トンという、こちら循環工場第?期の11分の1という規模なのですけれども、そのように調査確認をきちんと実施しております。
また◆松葉の調査も毎年、11地点でダイオキシン類調査を実施しております。
現在、私達住民が非常に心配しているのは第?期事業施設ですので、この様に実施願います。
そして◆1期の各施設へは連続測定器を。ウム・ベルト・ジャパンは(蛍光管破砕)水銀の自動測定器を。◆その他焼却・溶融・焼成処理施設にはDMS、アメサによるダイオキシン類連続採取・分析調査を求めます。設置願います。
時間もありませんので最後に、小川町へ年間1億円、寄居町へは同5億円を交付願います。
以上です。
コメント
RSS feed for comments on this post.
この投稿には、まだコメントが付いていません
コメントの投稿
ごめんなさい、現在コメントを付けることは出来ません