自社内に不法投棄して廃業した環境テックの代わりに彩の国資源循環工場に参入した豊田建設の社長が、参入の話が地元にあった当時と変わっています。
当時は櫻井社長だったので、埼玉県から加須市の自社内に不法投棄(埋設)で操業停止処分を受けたダイケングリーンランドと同じ会社だということを、当時、埼玉県から地元の協議会長にきた書類を見させていただき、確認していました。
参入の話があったときと、実際に循環工場に入った時は社名だけでなく、社長も代えていたのですね。
だから、彩の国資源循環工場に不法投棄(埋設)の会社から不法投棄(埋設)の会社に移ったことが、地元の一部の人たち以外には知られていないのですね…
東京新聞『消された「不法投棄」 「彩の国資源循環工場」』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201704/CK2017040202000155.html
『消された「不法投棄」 「彩の国資源循環工場」』
2017年4月2日
県の「彩の国資源循環工場」(寄居町)で、同工場に入居していた「埼玉環境テック」が産業廃棄物約二百トンを不法投棄したのに、県が許可取り消しなどの処分をしないまま、同社施設が「豊田建設」(八潮市)に事業承継されて約一年。同社は二月、自己破産申請した。一連の経緯に対する疑惑に、県は「問題なし」と説明してきたが、こうした強弁も同社の破産と同時に破綻した。残された産廃の処理など問題も山積みで、先行きは不透明だ。 (西川正志、大村歩)
■「処分はしない」
ことの発端は、二〇一五年十一月末に発覚した不法投棄だった。テック社の施設裏の空き地から、コンクリートや金属、プラスチックが入り交じった産廃約二百トンが見つかった。
県の担当者は「不法投棄だ」として調査を開始。不法投棄と確定すればテック社が持つ中間処分業許可と、施設設置許可は取り消しだ。だが、調査はすぐにストップしてしまう。調査開始からわずか十日で、担当職員は「処分はしないもようです」と書いたメールを関係部署に送っていた。
この急転直下の判断はどうしてなされたのか。県環境部の田中淑子産業廃棄物指導課長は、本紙の取材に「すぐ産廃を撤去したから悪質性はないと判断した。『間違えて産廃をまいた』という説明もあり故意性はないと考えた」という。
さらに田中課長は、テック社が自ら廃業届けを出して、許可取り消し処分の対象となる中間処分業許可も消滅したから、「処分対象とはなり得ないし、調査する意味もなくなった」と説明している。
もともと大した不法投棄ではなかった。さらに業者が自主廃業した。だから「おとがめなし」で済ませた−。これが県の説明だ。
■奇妙な性善説
しかし、県の対応は幾重にも誤っている。
環境省が二〇一三年に都道府県に出した通知では、不法投棄をしてもすぐに片付けたからとして処分しないのは、「違法行為の事実上の追認であり公益を害する」として、調査を尽くすよう求めている。
大量の産廃が重機を使って敷き詰められた状態を見て、「間違えてまいた」というテック社の言い分を信用するのも甘すぎる判断だ。県職員の中には「間違えたというには量が多すぎる」という指摘もある。
そもそも、本紙に証言した豊田建設関係者によれば、今回の不法投棄は、テック社幹部が同社倉庫の産廃過剰保管を隠すため「敷地の裏にまけ」と、応援に来ていた親会社従業員に指示しており、発覚後も「間違えてまいたことにしろ」と口裏合わせを指示していたという。なぜ県は、実態に踏み込まなかったのか。
「廃業したから処分しない、できない」も誤りだ。中間処分業許可が廃業にともない消滅しても、施設設置許可は残るから、これに対する処分はできたし、「調査を尽くして不法投棄と判断できれば処分すべきだった」(環境省担当者)。
■「抜け道」指南か
極め付きは「廃業すれば処分なし」という抜け道を、県からテック社側に指南した疑いがあることだ。
関係者によると、二〇一六年冬、テック社と親会社で社長を務めていた女性役員の夫が、テック社廃業の経緯を親会社従業員に説明。不法投棄に触れた上で「テック社は県から(廃業届けを出して)自分たちで中間処分業許可を返上しろと言われた」「県の温情で(処分されず)許された」と話したという。
一方、当時県環境部長だった半田順春(のぶはる)・県環境科学国際センター副研究所長は、本紙の取材に、テック社廃業前に女性社長と会ったことを認め、「相手から聞かれたので廃業となった場合は処分はないことを説明した」と話した。
不法投棄を取り締まる側のトップが、環境省通知に反する「廃業すれば処分なし」という誤った説明を、わざわざ教示する必要があったのか。しかし、半田氏は「県から廃業を促したことはない」と繰り返す。
こうした経緯に環境部内部でも、「調査は不十分」「テック社の廃業をもって調査を終えることは適切ではない」「通常の行政指導とは異なり、公平性を損なう」と疑問の声が上がったが、同部上層部は「施設設置許可は取り消さない」と、これを封殺した。
■拙速承認したが…
入り口でゆがんだ話は、その後もいびつで強引な展開を迎えた。
豊田建設は社名が示すとおりもともと建設会社で、東日本大震災の除染、復興作業を大手ゼネコンから下請けして急激に業績を伸ばしたとはいえ、産廃処理の経験はほぼない。
にもかかわらず県は、申請から許可まで長ければ年単位かかるとされる中間処分業の許可をわずか二カ月で同社に与え、「財務状況も極めて健全。事業承継を認めたい」と資源循環工場の地元の寄居、小川両町に説明した。だがそもそも、資源循環工場は入居企業の募集要項に「県内産廃の優先処理」をうたっており、ゼネコンなどから受注する県外産廃の処理を主事業として掲げた豊田建設の入居を認めるのはおかしい。
また、豊田建設は昨春から資金繰りに窮していたという指摘が一部であり、昨年三月には本店所在地の変更や役員の大幅入れ替えなど、不可解な動きがあった。昨年十二月に川崎市内の墓地で焼身自殺した同社顧問の男性がこれらにかかわっていたとされるが、県はこうした同社の経営実態を調べることもなかった。
結果、豊田建設は昨年五月に操業開始して二カ月もたたないうちに、約八千立方メートルもの過剰保管状態に陥っていることが発覚。同社の釈明は「作業員の人数、熟練度が不足していたのに新規顧客獲得を優先した」というお粗末なものだった。以後、同社の事業は停滞し、同社は二月、自己破産を申請した。
■負のレガシー
今後、施設設置許可は早晩消滅し、豊田建設の設備と残った未処理の産廃は撤去が必要となる。廃棄物処理法上、豊田建設に産廃の処理を託した排出元に引き取る責任があるが、受け取りは難航必至だ。施設も県の負担で撤去を迫られる可能性が高い。
なぜ、不法投棄を不問にし、強引な事業承継を認めて、破綻を招いたのか。最終的に県民の税金が使われる可能性もあるだけに、一連の経緯を問題視していない上田清司知事以下の県幹部には、厳しい総括が求められそうだ。