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「クリーネストライン」ブログ
パタゴニアの環境助成金プログラム 〜助成先から届いたその後のストーリー
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えこ&ぴーす「Actio」
http://actio.gr.jp/
2012年5月号 特集「復興と瓦礫処理」に掲載された原稿
彩の国資源循環工場をめぐる放射能汚染問題
〜震災がれきと一般廃棄物焼却灰〜
当会は、埼玉県寄居町に彩の国資源循環工場という大規模で複合型の産業廃棄物中間処理施設が計画段階の2004年に発足し、主にこの工場をめぐるゴミ問題に取り組んできました。リサイクルという名のもと、かえって周辺環境を汚染させている現状を調査しています。
このたび、全国の自治体の焼却炉でガレキの焼却を勧め、これを拒否するのは人道に反するかのような報道があちこちでなされています。
埼玉県では、昨年末に早々に上田知事がガレキ受け入れを表明し、その後、今年に入って、熊谷市籠原と日高市の太平洋セメント、秩父市横瀬の三菱マテリアルが受け入れることになり、ガレキ焼却後の灰は製品のセメントの原料になるとされています。4月には各工場で実証実験をすませ、着々と受け入れの準備がなされています。
埼玉県が受け入れを予定しているのは、岩手県野田村周辺の木くずで、放射性物質の量は最大で18.4ベクレル/kgで、焼却後の排気ガスからは放射性物質は検出されなかったとされています。
しかし同時に震災がれき受け入れが被災地の支援にならないことも徐々にわかってきました。
また、ガレキ問題に隠れて、最近の報道で聞かなくなったのが、各自治体の一般廃棄物の焼却灰や上下水道汚泥の焼却灰から超高濃度の放射性物質が検出されていて、自治体がその処理に困っているという現状です。
行政に情報公開できる一般廃棄物を調べたところ(反面、産廃はブラックボックスです)、彩の国資源循環工場では、実はすでにがれきよりも高濃度の放射性廃棄物が資源循環工場に入り、焼却など中間処理され、製品として搬出されていることがわかりました。
それは、福島原発事故当初、大量に大気中に排出された放射性物質が関東圏にも低濃度ですが、土壌や森林、草木に付着し、それを各自治体で焼却すると高濃度に濃縮され、それが彩の国資源循環工場で、わかっただけでも高いもので1000〜3000ベクレル/kgもの焼却灰が何百トンも焼却されているのです。その他汚泥も肥料化や焼却されています。その他、昨年度当初に搬入された120以上の自治体の焼却灰や汚泥は、恐ろしいことに測定の報告さえされていないのです。
搬入時、放射性物質が高濃度に検出された焼却灰や汚泥が、焼却など中間処理後の製品搬出時には、各社とも150ベクレル/kg以下に抑えているということは、その間つまりバグフィルターで捕獲、残りは大気に放出されていると推測されます。神奈川県島田市の実証実験から、放射性セシウムはバグフィルターでは約70%しか捕獲できない、ということが市民側の計算でわかっています。
つまり、すでにこの工場周辺の寄居町や小川町の大気は、福島原発事故以降、震災がれき受け入れ以前から、現在に至るまで放射性物質で汚染され続けている、と考えられるのです。
しかしこれは彩の国資源循環工場だけでなく、少なくとも関東以東の大型産廃施設で起きていると思われます。ホットスポットが各地で新たに発生している恐れがあります。